BRICS首脳会議2026、習近平が示した「4つの先鋒」と中国の議長国就任
2026年9月、新デリーで開かれたBRICS首脳会議で習近平国家主席が演説。協力20年の総括と「4つの先鋒」、AI協力や中国の次期議長国就任の意味を読み解きます。
出典: thepaper.cn
2026年9月12日、インドの新デリーでBRICS(新興国連合)首脳会議の第1段階会合が開かれ、中国の習近平国家主席が「時代の責任を共に担い、先鋒となろう」と題する重要演説を行いました。BRICSが協力の歩みを始めてから20年という節目に、中国が翌年の議長国を務めることが表明された点は、今後の新興国外交の方向性を占ううえで見逃せません。単なる記念演説ではなく、拡大した「大BRICS」の運営方針と、グローバルサウスの結束をめぐるメッセージが詰まっています。
核心内容
- 20年の総括と「大BRICS」への移行:習氏はBRICS協力20年を「自立自強」「風雨同舟」「成果豊碩」の3つの側面で総括しました。歴史的な拡大を経て、協力の枠組みは全方位・多層的なものになり、質の高い発展の新段階に入ったと位置づけています。
- 「4つの先鋒」という行動指針:①革新発展の先鋒、②平和と安定の先鋒、③文明間の相互学習の先鋒、④グローバルガバナンス改革の先鋒——この4点が演説の骨格です。理念の列挙にとどめず、各分野で具体的な協力提案を伴っているのが特徴です。
- AI協力と新工業化の提案:中国はBRICS各国に「世界AI協力機構」への参加を呼びかけ、AIによる新工業化を後押しするイニシアチブを打ち出しました。オープンソースの奨励やサプライチェーン協力の深化も明記され、技術分野が新たな協力軸になっています。
- 安全保障と中東和平への関与:冷戦思考や陣営対立への反対を唱え、共通・総合・協力・持続可能な安全観を強調しました。中東・湾岸地域の平和と安定に向けてBRICSとして役割を果たす意向も示しています。
- グローバルガバナンスとWTO支持:国連の権威を守り、WTOを中心とする多国間貿易体制を支持し、あらゆる形の保護主義に反対する姿勢を明確にしました。サイバー・宇宙・深海といった新領域でのルール形成も主導したい考えです。
- 中国の次期議長国就任:中国は2027年にBRICS議長国を引き継ぎ、第19回首脳会議を主催すると表明しました。「第3の黄金の10年」を開くという表現で、長期関与の意志を示しています。
深層分析
今回の演説を読むうえで重要なのは、BRICSが「抗議の場」から「制度設計の場」へと重心を移しつつある点です。習氏が繰り返した「先鋒」という言葉は、既存秩序への不満を述べるだけではなく、AIや新領域のルールづくりで主導権を握ろうとする姿勢の表れと解釈できます。とりわけAI協力機構の呼びかけは、米中技術競争が激化するなかで、グローバルサウスを巻き込んだ技術圏構想として読むことができ、中国にとっては輸出市場と標準形成の両面で意味を持ちます。
一方で、拡大したBRICSは利害の多様化という課題も抱えます。新規加盟国にはエネルギー輸出に依存する国も多く、保護主義反対の立場と自国産業保護の思惑が常に一致するわけではありません。中国が議長国として掲げる「第3の黄金の10年」が実効性を持つかは、合意形成の設計力にかかっています。日本企業にとっては、BRICS圏のサプライチェーン再編やAI分野の標準争いが、調達・投資判断に直接影響し得るテーマです。新デリーでの議論は、南アジア外交の力学も映し出しており、インドとの協調と競争が併存する点も注視したいところです。
よくある質問
Q. BRICSの「拡大」とは具体的に何が変わったのですか。
A. 従来の5か国から新興国・地域が加わり、人口や資源の規模で存在感が増しました。その分、意思決定の調整は複雑になり、合意のハードルは上がっています。
Q. 中国が議長国になることで日本にどんな影響がありますか。
A. 貿易・投資のルール形成やAI標準の議論で、中国主導の枠組みが広がる可能性があります。日本企業は調達先の分散や技術標準への対応を迫られる場面が増えそうです。
Q. 「グローバルサウス」という言葉は何を指しますか。
A. 主にアジア・アフリカ・中南米の新興国・途上国を指し、先進国とは異なる立場から国際秩序に関与しようとする国々の総称です。
参考 URL: https://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_34057692
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